轆轤肉のクロニクル/人間
 

左団扇で右に出る者が輪になって残業する


【無肉期】

鎗の雨、濡れた混繰土は影法師。
地面に耳をそばだてたまま三点倒立で物忘れ、しようね。
潮時に頬這う蟻が噂する量子化学の不祥事を犬死にの行商人に横流し、
景気良く空に埋もれる棘の湯気を回文の世界喃語で見送って、
忘れずに、二人の様に一人して、ずっとそうして、いようね。


【余肉前期】

嘯きて篝火に番うイボタガへ和太鼓叩く身無し児が炭
鉄棒が串刺す影の逆上がり夏の足蹴に大陸地殻
漫ろ言構造式に展開し枳殻垣に縫込むゴミグモ
自然薯の破る沈黙に念珠藻が溢れ反りて空室求む
放蕩のクラミドモナス集いけり鬼が
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