ラコステ遊(すさ)び/salco
 
、何しろ小さい。尚もその肉が滋養強壮に効く事をわれわれは知っていた。生き血さえ嗜む悪
趣味を今日まで伝えてもいる。
が、彼の地で亀を食らうのは座礁の船員ぐらいであり、更にスッポンは亀ほどのポピュラリティーがない。陸をうろつかないし、甲羅の硬度不
足もあってか、恐らく亜種として弁別されなかったのだろう。たまさか網に引っ掛かったとしても、食指が動くような姿ではない。
「おど、変なやづ掛かった」
「まんづ。捨てとけマイケル」
「アッ! おど、おどー!」
「ふてえ野郎だ」
ゲスッ!(鉈の打撃音)
「こりゃ亀でねえ。沼の悪魔だナ」
「エ〜ン、エ〜ン」
「泣ぐな。もう痛くねえべ?」

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