ラコステ遊(すさ)び/salco
「……おっかねえもの」
「だば、ポイント変えるべし。あべ(行こう)」
西欧人はどだい自然科学的感度がおかしいのだ。絶対神の直下に人間だけを据え、森羅万象をねじ伏せて来た世界観がまず貧しい。精霊さえも
なべてヒトを鋳型としており、タコを悪魔に仮託しながら形態学的発展を与えず、タヌキやキツネが人間を化かす、人智を凌ぎ得るとも考えな
い(北斎漫画や「蛸と海女」のダイナミズムを見よ)。変幻自在性を帯電させる代りに脚にうどん粉を刷かせ、あるいは婆さんのネグリジェを
着させるという想像力の貧困。そんな女装の浅知恵を押し付ける動機はしかも、オオカミに仔ヤギや児童を食わせる為だ。その意図には自我と
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