鏡に独り言/……とある蛙
他人の死は見ることができ、
自分の死は見ることができない。
他人の表情は見ることができ、
自分の表情は見ることができない。
自分の何かはすべて想像だけで、
鏡に写った自分が本当に自分である保証は無い。
自分の体は自分で動かせる?
いや 自分の体は自分の思いどおりに動いたためしがない
自分の体ですら体である保証はどこにも無い。
ある日ふと立ち止まる
歩いている自分の足は
本当に自分の足である保証は無い。
鏡に鬱った顔が自分の顔と同じである保証はどこにも無い。
見ている時点で左右逆ではないか
すべての物が左右逆か
その保証などどこにも無い。
理論的説
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