星を見る人/岡部淳太郎
分のいのちに
重ね合わせるようにして
知らず知らずのうちに
見とれていた
後ろのどこかの森の中から
梟が鳴いて
(その顔は銀河のように回転し)
(その眼の中にはむすうの)
星 また星
を
僕たちは見ていた
僕たちは見ていた
それぞれの 星を
互いの間に埋もれている 星を
僕たちはそれと知らずに見ていた
僕たちは鏡の色
割れやすいその硬さは
僕たちを恐がらせた
夜だから
こんなに暗いから
なおさらそれが恐くなるのだ
そう思って
僕たちは星を見ていた
そして夜の暗さの
意味深い闇の間から
あ ながれる
それはすっといっしゅん
通り過ぎては
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