星を見る人/岡部淳太郎
は
僕たちの間に見えない
亀裂をつくり
あ ながれる
そんなふうに消えて
あ ながれる
そんなふうに綻びて
だから僕たちも
同じように消えて
滅びなければならないのだと
割れた破片の小さなひとつずつとして
僕たちは納得し
納得しながらもどこか
へんな気持ちを抱えて
星を見ていた
僕たちは見ていた
星を
夜の
空の
それぞれの 星を
僕たちは見ていた
もうこんなふうに星を見ながら
どれだけの歳月が
ながれるように通り過ぎただろう
僕たちは星を見る人となって
他の似たような
星を見る人のことを
想像して
そのかたわらで
晴れ渡った空が
宇宙のむすうで
それらの星たちで
満たされるのに
圧倒されて
それでも変らずに
歪んだ星座のかたちをつくって
ひとつの大きな人のように
星を見ていた
(二〇一〇年八月)
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