星を見る人/岡部淳太郎
 
れることは出来なくて
だからといってそれに悲しむことはなく
僕たちは変らずに
星を見ていた

やがて夜の暗さの
谷間から漏れてくるものがあって
あ ながれる
それはすっといっしゅん
通り過ぎては消え
その軌跡に僕たちは
それぞれの気持ちを傾ける
よゆうもなくて
あ ながれる
そんなふうに消えて
あ ながれる
そんなふうに滅びて
そのいっしゅんあとになって
あれは流れ星というものだよと
誰かに教えられても
僕たちは ただ
呆然として
星を見ているしかなかった

僕たちは見ていた
星を
  夜の
    空の
それぞれの 星を
それぞれの自分の
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