炎のドレス/薬堂氷太
分の脳内に嗚咽(おえつ)を覚えたりそれを融(と)かしてしまいたい後悔の念に苛(さいな)まれながらも現状維持を一番に考え何度も燻ぶる火に水を掛けてみたけど情けない僕はたった数滴くらいしか掛けられず結局燻ぶる程度に抑えるのが精一杯でもうこうなったらどうしようもないから来(きた)るべきあの日に君のドレスをこの燻ぶった火種に衝動という名の油を注いで燃やし尽くしてやろうかとも思ったりしたけど何より場所が場所だし沢山居る他のスーツが怒ったら鎮火も大変だしそれより一番心苦しいのはタキシードに飛び火したら僕はタキシードの何もかもを踏みつけて火を消す羽目になるだろうそれで火は消えてもきっとポ
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