ナイト・クルージング(乗員も客も数える必要はない)/ホロウ・シカエルボク
なものよりもがらんどうに見える
カウンターではまだ明かりがついていて
店長らしき男が電卓を叩いている
その指先のピッチは
さっきのコンビニで耳にした歌より少し早い
――それがどこにも行かないリズムだという意味では
ふたつの音に
違いなんかないけれど
交通公園の側を歩く
交通公園の側を歩く
乗られまくったゴーカートが
横一列に並んで築山をじっと見ている
その築山にずんと突き立てられた
汚れた時計の文字盤を読もうとしているみたいに見える
昔
あれに乗ることは世界で一番カッコいいことに思えた
係員が
後部エンジンから伸びてる紐を
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