あしたのタケジョー/花形新次
うに博士は話しました。
「あれはベトナムの森のなかで捕まえたノブタを丸焼きにしてみんなで食おうとしたときのことだった。
奴は心配そうに俺に聞いてきたんだ、「ちょっと生焼けっぽいですけど、大丈夫ですかね?」って。
俺は、何のためらいもなく「大丈夫だ!沢山食べて精力をつけようじゃないか。」と答えた。
奴はそれを聞いて安心してがつがつ食ったよ。他の誰よりも多くのノブタの生焼け肉を。ところがだ、その夜、テントの中で、のたうちまわりながら苦しむ奴のうめき声で俺は目が覚めたんだ。完全な食中毒だった。軍医の俺にも手の施しようのない酷い食中毒だった。それから3日としないうちに奴は死んだ。
ベトナムの森に
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