分解するのが男の子、解剖するのが女の子/手乗川文鳥
 

死んだ、という夢で、それが本当に夢ならばなにも悪いことはな
かったのだけれど。



山を越えて、海があって、岬があって、灯台もあるけれど、原発
があって、台無しになった町へ、行ってなにをするでもなく帰っ
た日は、顔の色の彩度と明度が低くて、どこにいてもなにもかも
明るくてまぶしい、風車はとてもうるさい。



お母さんは起こしてくれるけど、目覚まし時計ではないから、分
解して、もう一度組み立てても、もう二度と男の子を起こしては
くれないし、男の子はもう二度と目覚めることが出来ない、ここ
はそういう森でした。



BTB溶液を落として、青くなったのが教室
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