音のない洞窟/吉岡ペペロ
したんだ
水の流れの音の中にいるのと風に吹かれているの、どちらをとるかで水中生活か陸上生活だったんだ
水の流れの音と風、両方とったら両生類、両方で生活しなきゃ死んじゃうんだそうだ
でも、彼らの粘膜の皮膚はとても環境の変化に耐えられなくて、あと百年で絶滅してしまう
水の流れの音だけの、水のなかという音のない洞窟で、シンゴはそんな夢をみて扇風機の風に起こされたかのようだった
きのうイガタアヤコから聞いた両生類の話しの夢を見たのだった
夢の中でシンゴが語りかけていたのはアヤコではなくてやはりヨシミだった
アヤコからその話しを聞いている最中もヨシミのことを考えていたよ
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