ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
れらがないとき彼女はバケモノにすぎない、だが俺がいる。だから彼女に意味がしょうじるのだ。俺によってだ。俺の魅力によってだ。男の体臭によってだ)
いくらシャワーで洗い流しても客につけられた匂いはすぐにとれそうにはなかった。タオルで体を拭こうとするがマフラーだった。だが一時の錯乱が彼女を襲って、そのまま手拭タオルにしようと、生地をさすっているうちに愛着がわいてきて、本来あるべきマフラーとして首に巻こうかという考えが首をもたげてくる。だが首を吊りたくもある。どちらにしようかと心は揺れていた。心だけじゃない、肉体もボロタオルのように弄ばれ、ファッションヘルスに与えられた小部屋で次の客を待つ、どんな客が
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)