ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
 
結婚してない35歳前後の女性ときたら、まあなんてそそることか!」
 凛はおもわず手に力がはいりブラック無糖をあおり飲む、そしてこぼれてついた液体を袖口でぬぐうと、
「この仕事、僕にできるでしょうか」
 男は目を開けた、いままであけていなかったのは、あけられなかったから、まだ目やにが固まっていて、やっとあけたその瞳はキラキラと、
「心配いらないよ、できないこともできるようになるさ。もっとできるようになるさ!」
 そんなシャウトに黙り込み、欄野が見ていたのは、(古びれたマンション)
 だんだんうれしくなってくる。昔の気持ちがよみがえってくる。ガキだった頃の思いが。なつかしい感情が。雨後のた
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