ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
 
て言ったでしょ、私」
「ああ、なんだい?」
「あのね、鉄道模型ってあるでしょ? あの模型のレールが壊れてたのよ。一個だけじゃなくって、在庫品も全部そうなんだって!」
 鳥男は真剣な眼差しをして、流れる雲を目で追いながら、
「それは不具合だ。工場で工員が間違った作り方をしてしまったんだ。このことが工場長にバレれば、工員が殺されてしまうぞ。それも一人や二人ではすまないだろう……。おそらく、1ブロックごと抹殺されるはずだ……」
 何か鳥男に抗議するような勢いで、多義子は身を乗り出した。しかし、抗議ではなかった。多義子はさらなる情報をもたらしたのだった。
「それだけじゃないのよ、あるおもちゃに
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