ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
とも思った。
「きみはここにいてもいい、悪い女性じゃないんだ。俺の友達だよ」
女性は姿を見せると、まっすぐ二人のもとへやってきて、珍しそうに渋谷を見つめながら、
「この子、売られるの?」と、渋谷を顎でしゃくりながら、鳥男に言った。
「違う、この子は、まだ何も知らないし、まだ何にも関わっていないようだ」
渋谷はことの成り行きに怯え、「う、売られる?」と口を挟んだ。
「そうだ。そういうこともあるんだよ。考えてみたまえ。こんなにおもちゃ屋が氾濫してるんだ。どういうことだかわかるかい? これだけ大量のおもちゃを作るには、それだけの数の奴隷が必要なんだ。この街にいつづければ、さらわれたり、売
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