ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
いう奴なんだ、と、認めざるを得なかった。鼻の頭からするどく尖った嘴が突き出ているのだ。
「お、おじさんは、一体、何者……」そう言い、絶句してしまった渋谷を、脅すような濁った目で睨みつけていた鳥男は、
「なーに。俺はこの屋上から変わり行く世界を見つめているだけさ。この世界はどんどん変わっていく。奇妙なふうにね。俺だって昔は、きみと同じように人間だった。でも、幸か不幸か、こんな姿になってしまった……」
「お、おじさん……」そして……、次の言葉を吐きかけた渋谷を遮るように女性の声が階段から響いてきた。
「渡辺さん! 大変よ!」
どうやら屋上にやってくるらしい。渋谷は気色ばった。逃げようかとも
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