ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
。人がいたのだ。しかもその人物は、顔に鳥の覆面をしており、口だけ出していて、その口はヒゲまみれときている。そして、馬鹿げたことに、鳥の羽毛のはえた着ぐるみをきており、何を考えているのか、大笑いしていた。
「よくきたな」
渋谷は最初の戸惑いから開放されると、その鳥男のそば近くまでいき、
「おじさん、なんで着ぐるみなんか着てるの? 何かの広告塔なの?」
鳥男は爆笑して、
「あっはっは、違う、違う、それはきみの勘違いだよ。着ぐるみなんか着ていないさ。俺はこういう生物なんだよ」
たしかによく見ると覆面だと思っていた部分と肌色をした人間の頬の接着面はリアルにつながっていて、こいつはこういう
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