ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
街はこんなことになってたのか……」
しばし呆然として、巨大なビル郡──それらはすべておもちゃ屋なのだ!──を前に、立ち尽くしていた渋谷はとある古ぼけたビルの屋上に鳥のような、そう、風見鶏のようなものが、あって、そいつが自分を見つめていることに気づいた。渋谷は探偵手帳を胸ポケットからとりだすと、こわごわ、四車線道路を突っ切り、ビルの階段をのぼっていった。階段には電灯がついておらず、屋上から入ってくる光だけがたよりだった。踊り場や、段の角っこはほこりだらけで、どういうことだか落ち葉などが積もっていた。はあはあ、息を切らせて屋上までたどり着くと、渋谷はそのポーカー・フェイスを真っ青にさせた。人だ。人
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