ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
 
鳥じゃなかったら撃ち殺してやるのに……。フンを、フンを撒き散らしやがって……、我が家の前に……」と、悔しそうにつぶやいた。どうやら、本当にデブのことを知らないらしい、そう感づいて渡辺は、
「あ、すいません。間違えました……」
 しどろもどろになって、一段高くなったコンクリートを降りるとき転びそうになりながら、見知らぬ町へと、歩いていった。もし渡辺に羽がなければアスファルトにくちばしを打ちつけていただろう。羽を一はばたきしてなんとかそれを回避してみた。ここは、そう見知らぬ町だった。建物は以前住んでいた世界と同じようだが、この世界には彼を知っている者は誰もいないのだ。なんだか息苦しかった。どうも空
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