ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
た。雨雲が月の光を遮っている暗い夜だった。よろめきながらドブの中に入った渡辺はひざをかがめて、ジーンズを汚水で汚しながらトンネルの中を奥へと這っていった。いわゆるドブ臭く、暗闇がずっと遠くまで続いている。渡辺は無我夢中で、ドブ川の流れる薄汚く真っ暗なトンネルの中をくぐっていった。水は冷たく、狭苦しかった。それでもはいつくばってがむしゃらに進み続けていると、7メートルほど先の水面に光がたなびいたりして反映していた。そこまで着くと渡辺は頭を出し周囲をよく見回してみた。アスファルトで舗装された道路が坂道のほうへのぼっていっている。街灯に照らされているその通りは渡辺が良く知っている道だった。彼の家のある通
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