ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
 
が一人、入っていて、トンネルのようになっている狭い暗闇の中へ入っていこうとしていた。地面を見ると、5×5センチ四方の正方形の形をした銀色のアルミのプレートに赤い文字で、

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 | 境 界 |
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 と、彫り刻まれていた。男は矢印の方向に行こうとしていた。デブは驚き、彼に声をかけた。
「あなた! なぜ、そんなところに行ってしまわれるんですか!」
 男はかがんだ姿勢のまま、黒く汚れた顔をデブに向けて、
「わからない、……俺にもわからない。……でも俺は境界がどんなところであろうが構わない。今の生活よりはましに決まってい
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