ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
んに話しかけた。
「いったいいつまで止まってなきゃいけないんでしょうねぇ……」
おじさんはタバコをふかすと、ため息をつき、「それは、止まれが進めに変わるまでだろ」
「いったいいつになったら、私たちはこの束縛から解放されるんでしょう……」
老婆の口から嘆きの声がもれた時、おじさんはまばらな垣根ごしにデブを見つけると、ちらっという感じでデブを見て、
「誰か覗いてるぞ」とみんなに知らせた。すると列の間から、「何だあいつ、無関係そうにじろじろ見やがって。人が苦しんでんのにいい気なもんだ。ちくしょうが」
「私たちを馬鹿にしてるんじゃない?」
「あいつも止まれの命令にしたがうべきだ。だって文
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