ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
 
げた。ほんのわずか、土が飛び散り、そして粉となって、地面に落ちていく。カーテンで閉ざされた窓からわずかに漏れる明かりとかすかな月明かり、だが農夫の目は暗闇に慣れだしていた。農夫は土くれを、眺め終わると、樹肌に手を当てて、その一部分が、切り取られてある木の幹を手でさすった。 ……十年前ぐらいだろうか、農夫はこの木の幹を少し斧で切り裂くとそれを自室に持ち込んで、彫刻刀で女性性器をリアルに彫り刻んだ。通常、その彫刻品は土の中に埋めて隠していたが、抑えがたい性欲が湧き起こると農夫は土のなかからそれを取り出し何度も何度も舐めては恍惚の表情を浮かべるのだった。クンニだ。農夫は何度もその木くれを舐めまわす。感情
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