ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
 
ら俺は……」デブの顔が、火照って、ほてってきだしていた。
 持ってきたコーヒーをこぼさないように注意しながら、机の上に置く前に一口すすると、多義子は統合失調症の薬を取り出し、むさぼるように、睡眠薬とともに飲み下し、しばしモニターを見つめていたが、『いいでしょう。あなたがそんなに私のことを想ってくれているなど知りませんでした。そんなに私に会いたいのでしたら明日にでも会いましょう。私はもう他人の野次なんか気にしません。他人の目を窺うこともしません。もう男の人はあなたしか愛しません』と、デブへのメッセージ文を書き始めていた。タイプする自分の指をもはやとめることが出来なかった。何かにとり憑かれたように多
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