ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
る目が、そのじんわりとした目に涙が滲む、虹が見えた、どこか遠くを見ているような目に。そして、少年時代憧れていた多義子の顔が蜃気楼、しんきろうのように、笑いながら、やさしく微笑みながら、デブを見守っていてくれている。清楚で、可憐で、おしとやかな成人女性に成長した多義子、長く、キューティクルな黒髪、かわらぬえくぼ……ああ、俺は今、ペニスバンドを付けた母山多義子、母山多義子さんに犯されているんだ、やっと俺の願いが叶ったんだ……
「多義子! 多義子! いま、俺はあなたを手にした、手中にした! 多義子! いたいけな多義子! 大切な人、あなたは僕の味方……、この世で生きつづけられていられるのは……、だから俺
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