ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
 
い。もはや理屈ではない。デブは箪笥の引き出しから網タイツを取り出すとそれを頭にかぶり、そして、頭をタオルできつく縛った。デブが急せかすように股を広げる。二人とも素面、しらふでやっているのだ、だが情熱は、……熱望や、希求、知的好奇心、アブノーマルな戦慄、おののきが二人を恋の魔法にかけていた。他の参加者はくつろいでいて、用意されたディナーに舌鼓をうちながら赤ワイン、白ワインなど、それぞれの嗜好にあった酒を飲んでいた。「乾杯!」「乾杯!」この二人をとめれる者などもはやいなかった。ただただ俺も壁にかかった絵画を眺めるのみ。楽な姿勢でソファーに座り、絵画を見続けるだけだった。デブと牧師は二人だけの花園、はな
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