そびえたつ邂逅/乾 加津也
 
二つの動力)が
これからくる数秒後の「いっせい」に殺されたあと
ふるさとの田舎のあぜ道でタバコをふかしている

 信号が「よくせい」から
    「しょうれい」にかわった

わたしの出番だ
歩道からまたいで白い梯子模様に足を踏みいれると
かるい段差は
波打ち際の夏の避暑地のようにつめたく
わたしのくるぶしから包みあがってくる
気をとり直して
マンボウのようにぼんやりすすむ
堰を切ったように
一目散に入り乱れるスカイフィッシュたちの袖口から
するすると赤い紐が垂れ流されてみるまに
巨眼が充血し
みずみずしく腫れ上がる
わたしがやっと中央付近にさしかかったころには
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