そびえたつ邂逅/乾 加津也
には
瞳孔はしなだれ
容赦ない心拍と炎症でまばたきをせずにはいられなくなった
弓なりの目蓋がとげ鞭のように押し寄せ
まつげに抱きついた雑魚どもを空高く振りはらった
しゃぶりつくす舌のような味覚がやむと
白昼もろとも涙となってすべてを押し流したあとは暗い原っぱ
わたし以外のわれらを
(なぜとりのこすというわたしの祈りさえも)
きこえない闇から首をもたげ
塔のようにかたくそびえたつ龍はわたしを見返している
マンボウのまなざし・・・
ありったけをそのまま
「(オマエハ)ダレ?」という言語で
いまもたったひとつの視線をつき返している
嗚呼スミマセン申し訳ございませんと
ひたすら口だけパクパク痙攣させてわたしは
生まれ?かいのち?かを懺悔せずにはいられない
(あたまのなかをスミレがよぎる)
◇ ◇ ◇
その立体交差点の
やたらに長い横断歩道で
やっと中央付近までたどりつくときには
いつも
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