音のない洞窟/吉岡ペペロ
におきなおした
小指がボタンのようになった乳首にさわった
シンゴは欲情を窓から見えるちいさな月のようだと思った
しぜんって、オール有り!ってことだと思う、
イガタアヤコの言葉がとつぜん浮かんだ
オール有り!・・・か、
シンゴがふっと笑うとヨシミがそれを尋ねてきた
おまえといると楽しいよ、
あたしたちお似合いだもんね、
さっきのファドが幻のように聴こえていた
男の歌うファドは胸の痛みのリズムにちょうど合うようだった
幻にもその曲がリピートでながれていた
パトカーの音でシンゴはハッとなりあたりを見回した
いつのまにか目の前にいたアイドリング
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