リトルナゴヤとカブトムシーズの冒険-1/水町綜助
 

ことばを続けた
「一見曲がりくねるこの線路もはるか彼方から見ればまっすぐであるよ。
 言い換えれば君はアリの目線を持てばいいのであるよ」
もうぼくの寝そべるこのベッドはぼくのかたちに影を焼き付けてしまいそうだ
カブトムシーズは高まり続ける気温と逆行するようなアイスブルーの空色を
甲羅のエンボシーな質感に流して
濡れた複眼でぼくを見ている
「昼、ねむいのだ」
そう言いたいのだろう
マ氏の発言はぼくを煙に巻くが
物言わぬカブトムシーズ達はとてもストレートにぼくを透過する
そういえばこいつら
何匹いるんだろう
かぞえると4匹
しかしどうしてももう1匹いた気がしてならない
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