うそっぱちぶっくす/真島正人
混じらない
(だって君と僕とは同じこの世界にいるから)
でもその夜の中にもっと小さな
僕がいる
君がいる
僕は机に向かっている
居眠りの途中だ
君はベッドで
ラジオを聴いている
電波塔に思いをはせているんだね
僕は
空想の世界の中で
素敵なはさみと糸を持っている
それで夜と夜を縫い合わせて楽しんでいる
すごく楽しいんだ
一日中そのことを考えて
笑顔が絶えないぐらいだ
(昨日だって職場のデスクで、笑いをこらえるのに我慢していたんだよ)
夜が向こう側にある
夜があちら側にある
大きな僕の手のひらで
二つを捕まえて
ひとつにしてしまえ!
これはすごいぞ!
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