うそっぱちぶっくす/真島正人
ぞ!
大成功だ!
でも
僕は足を組み替えている
深夜の地下鉄の
緑色のシートの上で
うとうとしている
これはいったいどうしたことだ
僕は
夜の最中にいる
さっき
そんなものは手のひらに収めて
くっつけたはずなのに
僕は僕の手のひらで
くっつけた夜の中に
取り込まれてしまったのだろうか
それとも
ここは違う夜なのか
あたりを見渡しても
みんな知らん顔
サラリーマン
飲み会帰りの学生たち
美容師ふうの若い女の子
みんな知らん顔して
おしゃべりしたり
眠ったり
漫画を読んだり
している
僕の手のひらにも
雑誌が一冊あったぞ!
ちょうどいい
これを読んで
あいつらに溶け込んでやれ!
僕は
そう思って雑誌を開く
見出しのタイトルには
嘘っぱち
ばっかり書いてある
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