うそっぱちぶっくす/真島正人
で
僕の脳みそから発生する
電気の海でしか
生きられないのだ
存在の色合いが
薄れてしまうってどんなのだろう
僕たちと
大気との境目には明確には
何があるのだろう
唾液が口の中で流動する
舌の上を
波打って進む
そのとき唾液は
皮膚とも
空気とも
隔てられている
ねとねとの粘着質を
保ってもいるのに
また眠れない夜がやってきた
また
ため息が夜になった
僕が口をあんぐりとあけると
口の中から
漫画の浮き出しみたいな
夜が生まれる
ぽこんぽこんと
鳥の卵みたいに生まれていく
その夜は
僕の過ごす夜とは混じらないし
君の過ごす夜とも混じ
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