熱帯夜/木屋 亞万
 
ように日蔭の石のように冷たくいよう
血肉がどれだけ熱くても、骨はずっと凍ったまま

ゴム球を弾ませて、薄い乳房を浴衣に秘める
帯で押さえられた曲線は提灯の火に見え隠れする
金魚の水槽の周りにできる水たまり
ぬかるみに足を取られた女にスケベは心を奪われていく

冷たい乳房が欲しい
キンキンに凍った乳房と膣が
冷たい陰茎が欲しい
ガリガリ君のように凍った棒が精液のかき氷を吐く

風鈴は都会から姿を消し
どの家も窓を閉め切って
内側を冷やし外側に熱風を出す
自分だけがよければいいように機能する機械に
新人は染められていく

むかしむかしのあるところ
少し未来の文明
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