その教師は間違っている/殿岡秀秋
 
この席替えはしばらくして元にもどされて、また男と女とで並ぶことになったが、ぼくには長い期間に感じられた。

注意

担任は授業中に、ぼくの貧乏揺すりを注意した。ぼくが給食費を忘れると、クラス中に響く声で、名前を呼び、給食費はどうしたと尋ねた。
テストの結果を返すときに、ひとりずつ前へでて、担任からうけとって帰る。担任がぼくの背中に声をかけた。
「きみはいつか一番ビリになるよ、今は違うけど」
ふりかえったぼくをにらみつけながら担任は言った。ぼくは驚いたが、そのまま歩いて自分の席に座った。そのようなことを言われたのはぼくひとりだった。うつむくと木の机の黒い染みがにじみながら広がっていく。
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