新大久保の女/はだいろ
 
なにへたっぴなのか、
本屋さんで読んだ、ホームレスのひとのインタビューとも重ねて、
思い当たるんだ。


父は、癇癪もちで、
しかもユーモアのない怒鳴り散らし方をするひとだった。
ぼくは、二階のじぶんのへやで、
勉強するふりをしながら、
父の怒鳴り声を、聞き流していたつもりだったけれど、
それは、決定的に、ぼくを傷つけた。
どうしてか、わからないけれど、
父は、悪い人ではなく、お人好しで、
きっとストレスだらけの、警察官だったのだろうけれど、
ぼくはいっそ、
大泥棒の息子に生まれたかったよ。
あなたは、
ぼくに、
なにひとつ、
いい影響を与えてはくれなかった。
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