ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
、まつげの生い茂る彼女の大きな目を見つめていた。
「そんな目で見ないで」
「えっ、どんな」
「なんか私がよっぽどブスみたいに見てたでしょ」
いけないことを共有している気分になった。頭の中がスカスカになって、スースー風が吹いているようで、
「はい」と何の考えもなく、答えると、
彼女は僕をキッと睨みつけて、
「はい?」と怒ったふりをして聞き返した。そして、僕の髪をやさしく手ですいた。いつか信じあえなくなる日まで一緒にいたいという思いが込み上げた。互いを疑い合って、どちらかが裏切るその日まで。
14 今、明かそう私の正体を
気づいてたのか? 俺の正体を? そうだ、
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