ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
るの。そしたら友達がさ、それはあなたの心が穢れているからそういうのが見えるっていって、その子キリスト教の信者なんだけど、あなたも入りなさいって勧めてくれたの」
「ふーん」
「でも、未だに見えるときがあるけどね」
「病気なんじゃないの?」
「それに近いかもね。まあいいわ。何が病気かなんて結局わかりはしないんですもの。正常に見える人がかえって病気だったり、変なクラブに通ってたり、それにあなたに病気だなんて言われたくないわ。あなたの方がよっぽど病気よ」
「わかってるよ……」
多義子はまだ一口しか吸ってないのに、空き缶にタバコを押し付けてもみ消すと、立ち上がった。
「缶コーヒー買いましょ。
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