ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
して大変なことになるって思ったからね。でもふと気づいたんだ。ああ、今、僕は仕事から帰って寝てるんだってね。それで今はBチームの人が取り付ける作業をすればいいんだから僕はこのままふすまを流してしまってもいいんだって気づいたんだ。でも、まだふすまのことをミッションケースだって勘違いしてたんだよ。それぐらい疲れてたんだ」
「ふっ」と、多義子が足を投げ出して、噴きだした。彼女に嘲笑癖があるわけじゃないんだろう。僕のような人物を目にし、おどおどした態度や、声が裏返ったり、どもったり、急に熱弁をふるったりするのを聞き、当のその人物の部屋にいて、その部屋が散らかり放題であるという状況、それらが相まって、彼女に
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