ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
 
てた時期はもう終わってしまったんだ』なんて言うんだ。
『そうかも知れない。……もう、僕が幸せになることなんてありはしないんだ……』
『一日だけなら、一日だけならきみを、きみが輝くべきだった頃へ戻して上げられるよ』
『……なんだって?』って、僕はジョンの言っていることを、とっさには理解できなかった。
 その日の会話はこんなふうにして始まったんだ。その日、僕は一日中悲しかった。胸がぎゅっと押しつぶされてるみたいで、なんていうのか、ポカーンと胸に穴が空いてるみたいだった。その空いてる穴がくっつこうとしてるみたいで、ぎゅっ、ぎゅっ、って締め付けられるんだ。一歩間違えて、油断したら、泣き出してしまい
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