ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
あ、わからないよジョン。僕だっていつまでもこんな仕事していたくないよ。だって、こんなとこで働いてたって時間の無駄みたいなもんでしょ? なんの出会いもないしさ。ただどんどん時間がたっていって、月日がたっていって、歳をとってくだけだよ。なんのために僕は生まれてきたんだって思うね』そう言うとさ、ジョンは辛辣でね、
『もうきみの幸せな季節は終わってしまったんだよ』って言ったんだよ。僕がね、
『なに言ってるんだ。僕が幸せだったときなんてありゃしないよ』って受け流すとね、
『……ほんとになかったのかい? 俺はあったと思うよ。でもきみはその時代を無為に過ごしてしまったんだ。時間が無限にあるときみが思ってた
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