ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
 
く、できた製品は、左手でちょっとはねて、滑り台になっている器具に落として、コロコロ転がってって、プラスチックの容器に溜まるようになってるんだ。僕が作る製品はそれだったな、一日で、3千個作らなきゃならなかった。ナットもプレートブリッジも小さい上に、安定性が悪くて、乗せにくい。だからこれを作るときはいつも両手素手でやってるんだけど、ナットが溶接されたところはものすごく熱をもってて触ると火傷してしまう、手は油まみれだから、持ちそこねたり、はねそこねたりすると、一日中、火傷の痛さに苦しむことになる。でも働き出してから数ヶ月もたつともう作業にもだいぶなれてどんどん製品を作れるようにはなってしまうんだけど、慣
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