ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
十三年前ね、僕は中学校のすぐ目と鼻の先にあるアパートに住んでたんだ。僕は中学校の三年生だったけど、学校には行ってなかった。中学二年の二学期から一日だって行ってなかったんだ。登校拒否してたんだ。怖かったんだ。学生服を見るだけで怖かったし、二階の教室に上がれなかったんだ。教室に行こうと階段の前には行くんだけど、見上げると、物言わぬ壁がぬっとたってて、それが僕がいじめられてても黙って見てみぬふりをしているみんなの象徴みたいに思えて、足が動かなくなる。僕は靴箱のとこまで戻って、教室に入ろうか、それとも家に引き返そうかって迷って、結局、遠回りして家まで帰ったよ。藪の中をわざととおっていったりして、体中、傷だ
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