ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
 
……そうだけど、……興奮してて」
「興奮しててって……、なんかセックスしたいとか叫んでたし。……長々と朗読して展望台でてこないって、なにそれ? どんな罰ゲームよ。……それで主人公はどうなるの?」
「わかんない。まだ考えてないよ。ここまでしか、……これだけ。……締めのフレーズは考えてるけど」
「どんな、なのよ」
「……彼の書いたものはすべてチリアクタに消えた。それもそのはず彼はチリアクタが好きなのだ。この男は塔に住んでいた。見晴らしのよいバルコニーが屋上にあるがもう何年のぼっていないことか。雨戸に閉ざされた彼の部屋でひっそりと生きていた、……。こんな感じ」
 彼女は僕が書いた小説に目を通し
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