ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
て、その上にたくさんほこりが積もっていた。色の違うガラスが何枚も嵌め込まれている窓が、印象的な部屋だった。
「ちゃんと捨てないと、退廃的だよ」
「ああ、空き缶? あんまお金ないから最近はあんま缶コーヒー買ってないんだけどね。それでも缶はどんどんたまるんだよね」
「捨てないからだよ」
「うん。一日一缶って決めてるんだけどね。……インスタントコーヒーで我慢して」
「だから捨てないからでしょ。ほんと退廃的だよ。もう置くとこなくなって二段に積まれてるし」
そう言って彼女はパソコンチェアーにどさっと座った。ふかぶかと。そこは部屋で一番の特等席だった。
「あんま外に出ないんでしょ?」
「うん
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