ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
 
 洋子とかかわるな。くそが。キモいんだよてめえ!)
「いらっしゃいませ」
「あの……乗り物回数券を二千円分……」
「はい、どうぞっ」
「あ、あと……、赤ラーク……」
「はいっ。これでいいですか?」
(いや、ロングがいいんだけど、まあいいか……)
「はい……」
「ありがとうございました。またいらしてくださいね」
(なんてかわいいんだろう……、何か話しかけてみたいな……。気軽に……)
「あの……」
「はい?」
「こんど一緒に観覧車に乗ってもらえませんか?」
「えっ!」そう言って洋子は頬を赤らめた。
「いやならいいんですけど……」
(やだ……どうしよう。私がずっと見つめてた
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