ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
 
てたのに気づかれてたんだ……)
「あの、観覧車お好きなんですか?」
「ええ、……好きと言えば好きなんですが、……一人で乗っててもあんま楽しくないんですよ……」
「えっと、……日曜日でよろしければ、あいてますけど……」
「えっ、ほんとにっ! いいんですかっ! 一緒に乗ってくれるんですか!」
「ええ、こちらこそ誘ってくれてありがとうございます。私も毎日退屈してたんで。でも、遊園地に行きましょうよ。こんな動物園の観覧車じゃなくて」
「うんっ。そうしましょう。じゃあ、僕、観覧車のってきます」
「うん、私、見てるわ。帰るとき電話番号交換しましょうね」
「うん、うん。じゃあ、あとで……」

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