ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
いると恐怖心はどんどん増していく。でも僕はあえて地上を覗き見る。恐怖心が最高潮になれば、日ごろの悩みを完全に忘れてしまえるから。そして、恐怖心だけになったら、僕は中学校のころから愛し続けている女の子のことを考える。ちょうど観覧車がてっぺんまできたら、彼女が住んでいるマンションが見えるんだ。そのとき僕は何だか彼女とまた再会して、笑いあえるような、そんな気分になれる。万が一の事故が起こらないとも限らないなぁ、とか、今、阪神大震災クラスの地震が起こったらどうなるだろうか、なんてことも考えちゃうんだけどね)
(あいつ……ちょっと、おかしいんじゃないか? なんで、一人で観覧車に乗るんだろう。それもほぼ毎日
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