ジュリエットには甘いもの 前編/(罧原堤)
 

「一体なんだおまえは?」
「詩人です」
「寝ぼけたことをいうな。人間のしかも凡人ではないか」
「まあそうかも。でも、だから心臓ばくばくして、脳みそすかすかになるまで睡眠不足でやっと詩を綴ってるんです。えらいでしょ」
「うるさい! おまえのようなものをわしと同じ席に座らせられようか!」
 直後、もんどうむようで、叩き落された。大きなハエたたきかなんかで。
「魔人よ、魔人よ、魔人さん。これであなたも曲がりなりにも堕天使ですから、自分の力で立派な詩を書いて這い上がってごらんなさい。うんとたくさんできがよいものを書いて」
 真上から女人にそんな言葉を投げかけられながら。それから我がまま
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